OSGウェブセミナー まとめ
教育2020/07/05
●ねじの種類と用途
・「おねじ」と「めねじ」がある
外ねじ 内ねじ
・おねじとめねじは1対で使われる。
おねじはどうやって作られる?
・旋盤加工(バイト)
・ねじ切ダイス
・転造丸ダイス
めねじはどうやって作られる?
・切削タップ・・・タップは正回転で入って逆回転で戻る
・切削工具(バイト)
・転造タップ・・・切りくずを出すことなく押し付けて盛り上げて
山形を作る
ねじの用語
・ピッチ・・・山と山の距離
・内径
・外径
・谷の径・・・めねじ:広い径、おねじ:狭い径
有効径とは
メートルねじの場合有効径基準寸法=外径-0.649519×ピッチ
有効径が小・・・しっくりしたはめ合い
有効径が大・・・ゆとりのあるはめ合い
条数
1条→1回転1P(入口がひとつ)
2条→1回転2P(入口がふたつ)
おねじ用とめねじ用工具(チップ)の仕様が異なる、共用出来ない
並目と細目
並目M10といえば、M10X1.5P
細目M10X1.25P
M10X1
M10X0.75 など・・・ 並目よりピッチが小さい
なぜ細目があるのか
細目はねじの山が多いので、ネジの緩みが少ない
ねじ込むのが大変
ユニファイねじ(JIS)(ANSI/ASME)
ピッチは1インチ(25.4mm)
3/8 - 16UNC
外径=3/8インチ
ピッチ=16山
UNC=ねじの種類、ユニファイ
外径ミリ換算
25.4X3/8=9.525
ねじの精度 JIS・・・日本産業規格
ISO・・・国際標準化規格
厳 精 1級
↕ 中 2級
緩 粗 3級
めねじ等級 4H・5H・6H・7H 大文字
おねじ等級 4h・6h・6g・8g 小文字
●ミーリング加工
工具性能を決定する3要素
・素材 硬さ 高 ⇔ 低
靭性(欠けにくさ) 低 ⇔ 高 硬いものは脆い
・形状
・表面処理 コーティング
工具から見た被削材硬さの影響
硬い 軟らかい
良い 切りくず離れが良い 削りやすい
刃物の寿命が長い
悪い 削りにくい 切りくず離れが悪い
刃物の寿命が短い →溶着トラブル
切削熱が高い
熱対策
径方向の切込みを小さくすることで、被削材と工具の接触距離が短くなる
切削抵抗が小さくなるため送り速度を上げられる
→工具の接触時間が短くなるので、発熱抑制
高送り径方向を抑えて軸方向にかける
・トロコイド加工(円弧) 不可の変動が大きい
→送り上がらない
◎トロコイダル加工(楕円)一定不可を実現
→高速可能
●アルミ合金
展伸材(圧延アルミ):A2024、A5052、A7075
鋳物 :AC2A、AC4B、AC4C、AC9A→砂型に溶融アルミを流す
ダイカスト :ADC10、ADC12等→金型の中に高圧力を加えて圧入する
精度が良い
・展伸材(A5052、A7075等)
切りくずがかさばる→チップポケット
粘り→切れ味が必要
溶着しやすい→油濃度に敏感
・鋳物・ダイカスト(AC4B、ADC等)
切りくずは粉状→溝形状選ばず
溶着しやすい→水溶性油は濃度注意
Si量(シリコン)に注意→摩耗が早い
加工面のむしれ、精度出しにくい
●ステンレス鋼
オーステナイト系(SUS304) →耐食性優れる、非磁性
フェライト系(SUS405、430) →最も安価、強磁性
マルテンサイト系(SUS420、440C)→耐食+強度あり 医療器具等
析出硬化系(SUS630、631) →最も強い、耐食性はオーステナイトの次
二相系(SUS329) →オーステナイト相+フェライト相、
塩化物に耐食性・強度優れる 醤油タンク
ステンレスは削りにくい?
①切削温度が高く熱伝導率が低い
②親和性が高い(溶着しやすい)
③高温強度が高い
④加工硬化する
ステンレス加工の注意点
・加工硬化させない
①回転を落とす
②送りを低くしすぎない(1刃あたりを守る)
③ダウンカットで加工
・切削油が重要
①潤滑性が重要
②低速なら不水溶性
③ドライは厳しい
●切削工具の選定基礎
工具には・・・「熱に強く、硬くて、粘る」性質が求められる
硬さと靭性の関係
硬さ 低い ←→ 高い
靭性 高い ←→ 低い
両立させるために積層構造の工具 → コーティング工具の開発
耐摩耗性に優れる 皮膜は脆く欠けやすい
複合多層構造 → クラックの伝播を抑制
ドリルの選定
ねじれ角大 → 切れ味重視
(軟らかい素材)
ねじれ角小 → 剛性重視
(硬い素材)
溝長-1.5D≒深さの限界 (D=ドリルの直径)
・ハイス・・・靭性により欠けにくい 刃先を鋭くする事ができる
・超硬 ・・・硬度が高いため切出刃が摩耗しにくい(=耐摩耗性)
高温でも硬さが低下しにくい
曲げられることに弱い→欠けや折損が生じやすい
①切屑をスムーズに排出させることが出来るか
②切削油が届いているか
エンドミルとは・・・底刃と外周刃を持ち、回転しながら移動により切削する
エンドミルが出来ること
2枚刃・・・溝切削、穴あけ、ザグリ穴あけ
4枚刃・・・側面切削
スクエア、ボール、コーナR (スクエアとコーナRにはすかし角がある)
刃数と特性
少 1刃 2刃 3刃 多刃(4刃以上) 多
大 チップポケット 小
大きいと切粉の排出性が良い
低 剛性 高
高いとたわみにくい(仕上げ加工に有利)
刃長はどう選ぶ?
長すぎるとたわみ、ビビりなどが発生
◎可能な限り刃長が短いものを選定
ハイスエンドミルと超硬エンドミルの使い分け
・ハイスエンドミル・・・靭性が高い → 欠けにくい
・超硬エンドミル ・・・硬さ・耐熱性が高い → 長寿命・条件向き
●タップ
OSGは通常2級(STD)
ハンドタップ
刃先強度が高い
切りくずは上下に出る
スパイラルタップ
泊まり穴の穴底いっぱいまで加工可能
切りくずは上に出る
ポイントタップ
切れ味が良い
途中逆転しないこと(3P抜けきってから)×
3P抜く
切りくずは下に出る
溝なしタップ(鍛造タップ)
盛り上げ加工
折れにくい
切りくず無し
下穴の精度が必要
機械の剛性が必要
硬すぎる素材、柔らかすぎる素材には不向き
ねじ径の2倍を超えたら深穴
ロングシャンクは深穴用ではない
タップ加工は欠けにくいハイスが有利
鋳物は超硬も可
タップの選定にあたって・・・
[必ず確認すること]
①ねじ種類(規格とサイズ、Mネジ、細目,PT,PF等)
②めねじの精度(もしくはタップの精度)
③通り穴か、止まり穴か?
④被削材(硬さ)
⑤ねじ立て長さ(タップ呼び径Dの何倍にあたるか確認)
⑥タップ種類の指定は?
⑦その他の情報はあるか?
●自分の仕事に生かしたいこと・現場に取り入れたいこと
タップでの加工のときに、今までは切粉が出る方向を深く考えずに作業していた
ので、今後は考えながら作業していく。
アルミの切削時に送りを遅くなりすぎないようにする。
刃長はなるべく短く、刃数によっても使い分けがある。
材料の性質に合わせた刃物の形状や加工の回転、送りの速度を調整する。
高送りの加工方法にトロコイダル加工が適している。
ステンレスの加工をする時は参考にする。
タップの先端角の説明がよく分かった。
タップ選定の際には、先端がどんな角度をしているのかも注視する。
工具の素材やコーティングによって適している加工が異なるので、
一番合っている工具を選ぶ。
エンドミル加工で深い長穴などは、同じ所で少しずつ何度も削っていたが、
軸方向に多くかける、摩耗を分散させるというのは今後実践してみたい。
図面を見る上で、タップの種類(並目、細目)やピッチなど気を付けたい。
●振り返り(今日の学び・今後の課題)
タップ・ドリル・エンドミルのセミナーはとても役に立った。今後も勉強したい。
タップ・ドリル・エンドミルそれぞれの得意・不得意を考えて刃物を選ぶ。
工具の性質を把握し、目的に合った物を選ぶ。切りくずの排出性、硬さ、耐熱性など
機会に合った周速、送りを早くつかめる様にする。
転造タップがどのように加工されるのが分かった。
なんとなく選んでいた工具が、選ぶ理由が知れた。
エンドミルのすかし角など勉強になった。
エンドミルは基本的に4枚刃を使用しているが、加工によって最適な刃数が異なることが
知れたので、よりよい工具を選定したい。
発熱抑制や摩耗の分散など取り入れて、現状よりも効率的なプログラムを作る。
最新の工具は従来品の工具より高性能になっている。
ねじの種類には用途別にたくさんの種類がある。