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工作機械の歴史④ 201112

教育2020/11/16

工作機械の歴史④

●戦後の工作機械業界
 政府による工作機械業界の発展のための国策

・「工作機械輸入補助金交付規定」
 1952年「企業合理化促進法」 
 工作機械更新促進のため新規取得設備機械に対して初年度
 50%の特別償却
 (機械代金の半額が利益から引かれる減税)
 日本の経済復興に果たす工作機械の重要性を重視した表れ
 終戦後、国内ユーザーは欧米機にあこがれを持っていた
  + 「工作機械輸入補助金を利用して、
 国内ユーザーは〈欧米機械の導入に拍車をかけた〉
 危機感を抱いた日工会は「工作機械製造確立のための要望書」
 を政府に提出
 ・老朽機屑化
 ・新設工作機械への優遇措置
 ・輸入機を避ける
 ・国産機を奨励
 ・「試作補助金」の要望

・「重要機械類の輸入免税制度」
 産業全体の設備更新のため→短期的には日本工作機械業界には
 ±の影響があった

●「工作機械試作補助金」の交付
 1953年~55年工作機械メーカー28社
 国産機の技術向上のための交付
 未開発機械61機種の高精度工作機械の試作に対して交付
  池貝:自動倣い旋盤
  日立:堅タレット旋盤
  大隈:ラジアルボール盤
  三井:治具中ぐり盤
  岡本:歯車面取り盤   等
 予算が2億8千万円(現在280億円)
 ユーザー自動車業界からみた国産機の評価
 ・合326計の機械が油圧装置・電装品・ベアリング・クラッチ
  など品質に例外なく問題があった
 ・導入当初は良好な制度でも短期間で劣化する
 機械工業の発展のためには各種工作機械が絶えず十分に供給され
 なければならない
 →機械工業全体が振興政策
  工作機械業界の振興政策 必要

・「機械工業臨時措置法」の制定
 5年間の時限立法→2度にわたって更新
 ①生産技術を特に促進する必要性のある事業
 ②性能・品質を改善し、生産費を低下させる必要がある事業
 ③加工技術を改善し、加工費を低下させる必要がある事業
 「機振法」は欧米から遅れをとっていた日本の工業全体の近代化
 促進のため、生産性向上、品質改善、コスト低下の計画実施が指
 示された

・機振法
 「特定機械工業」の共同行為(カルテル・談合)を認めていた
 (過当競争を防ぐため)
 1.金属工作機械
 2.鍛圧機械
 3.金型・切削工具  等特定機械工業
 中小企業が多く不況期に自由競争してしまえば、倒産が続出する危険
  ↓
 「独禁法」除外
 中小企業に有利な法的枠組みを与えていた
  →高水準の技術が世界から求められていたので、欧米の水準に追い
   つくための期間であった
 1956年「機振法」の具体的な目標
 1957年「金属工作機械製造合理化計画」で発表
       (QCDと共同研究体制を設置)
         ↓
        目標達成の有効な手段
      優れた欧米の特定機械を輸入して、徹底的に分解して、
      性能・機能・構造を調べて評価する
      「外国工作機械性能審査事業」
      優秀な機械の国産化に極めて有力
      工作機械研究所の設立

●工作機械の技術提携
 戦後の復興により、工作機械の需要が急速に回復
 →大増産は必要
 →国産機では対応できない 
 ⇒輸入機に頼る
 1960年代、史上初の輸入機ブームが到来
 国内外の技術の差が明白であった
 ☆欧米工作機械メーカーとの技術提携の道を選んだ
  (自力ではなかなかパクれない)

●技術提携の国内外事情
 ・欧米から見て日本国内の需要を満たし切れない日本市場に対して、
  日本メーカーを利用して需要を満たす
  +安定したロイヤリティー収入
  欧米市場の需要が賄いきれない場合は、日本の技術提携先から
  逆輸入する
  例;カズヌーブ者の倣い旋盤を、昌運工作所が逆輸入した

 ・直接的で劇的な効果→技術提携
  高額な契約金を支払ってでも自らの技術を向上させなければ、
  欧米機には対抗できない
  ※時間的余裕+技術力がない
    ↓
  「技術開発のための時間を金で買う」 絶好の機会

 ・昌運工作所とフランス・カズヌーブ社との提携
  設計図面、工作法、標準作業時間、工程管理方式

 ・新潟鉄工所はサンドストランド社との提携
  設計生産技術の向上に大きく貢献
  

自分の仕事に取り入れたいこと

 自分達の今の状況も、国からの補助金で何とか生活できていると思う
 なんとなく仕事をしているのではなく、何か身につくことを探したい

 戦後の日本の機械が短期間で劣化する、あまり良くないものだったこ
 とには、驚いた

 補助金の申請や手続きは大変だが、好条件の補助金制度を効率よく使
 うことによって、高い設備でもコストを抑えられるので、どんどん活
 用した方がいいと思う

 「強い国家は強い工作機械が作る」という言葉が印象に残った
 当時の背景としては、自国で生産できる工作機械の性能で、国の軍事
 力などの国力の差が大きく出ることをうかがい知ることができた

 当時の日本の機械工業で、共同行為が認められていたことには驚いた

 戦後は、経済復興のために政府が工作機械に力を入れていたことを知った

 技術開発のためには、資金と時間が必要なんだと、改めて思った

 技術提携は技術を提供する側にも、契約金だけではない利点があると知った
 
 現在と同じような補助金が、復興期にもあったことが知れた

 
振り返り・今日の学び
 
 欧米機械導入に拍車がかかり、危機感を抱いた日工会は、国産機の開発
 や技術向上のために「工作機械施策補助金」を交付し、国の工作機械業
 界のための国策を作ったことを学んだ 

 機械工業の発展のために補助金制度や他国との技術提携が多く行われて
 いたことが分かった

 昔から補助金制度があったことを知った

 昔の日本製の工作機械は、例外なく品質に問題があったということが意外
 だった
 工作機械の技術は奥が深いと思う
 
 戦後の日本政府が欧米の技術に追いつくために、工業に対する様々な政策
 をとっていたことが知れた

 工作機械試作補助金があれば、新しい機械の開発に挑戦しやすくていいと
 思った

 戦後、機械工業の発展のために、工作機械業界に対して、国が様々な振興
 政策を行ってきたことを学んだ

 戦後の工作機械の歴史を学んだ 
 輸入機の模倣から技術提携による技術力の向上を図るようになった

 たくさんの会社同士で技術提携が行われていたのは知らなかった