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工作機械の歴史 ⑥ 201214

教育2020/12/17

工作機械の歴史 ⑥

●証言/輸入工作機械の足跡

①戦中・戦後期の政府の工作機械助成策としての4度に亘る模倣令

②欧米からの技術提携
 (図面だけではなく、システム的量産技術)
 ・研究開発の重要性の認知
 ・模倣品の汚名返上→ブランド力向上

③NC装置の実用化・普及

④欧米・欧州を中心とする国際市場へ積極的に売り出す体制を
 整えたこと
       ↓
 ☆日本が1982年~2008年まで27年間
  工作機械製造世界第1位を達成

●モータリゼーションとともに走った高度経済成長期
モータリゼーション(自動車が普及し生活必需品になる現象)
1966年頃から

・トヨタ自動車
1955年5月に「国民車育成要網案」を発表
 ①最高速度 100km/h以上
 ②乗車定員 4名
 ③平坦路時速100kmのときに燃費30km/l
 ④大掛かりな修理なしで10万km以上走行可
 ⑤排気量 350cc~500cc自重400kg以下
 ⑥月産2000台の場合 1台あたり15万円以下 
 という指標

以上に基づき、
スバル360、トヨタパプリカ、マツダクーペR360
その後1067年以降日本で日産1万台以上生産
1976年 年間500万台生産
トヨタも月産1万台以上の生産の実績がなく、設備のほとんどを、
自動車生産先進国アメリカ、ドイツからの輸入機に頼った
エンジン部品
 (シリンダーブロック、シリンダーヘッド、コンロッド)等
大量生産には、無人で連続加工できるトランスファーマシンが必要
 →大半が輸入機

・スズキ
1984年 インド進出計画
1986年 インドでのエンジン生産ライン完成
鈴木修「大手の強豪メーカーは欧米を目指す。中小企業は、大手と
    競合して欧米と戦う力はないのでインドに進出するのだ。」
→その狙いは的中、スズキはインド最大の自動車メーカーとしての
 地位を築き上げた(インドのシェア50%)

●グローバルビジネスとしての機械産業
 グローバル時代のビジネス感覚
 グローバル(世界的規模)↔ローカル(特定地域)
・日米の違い
 物質量の差、哲学、根本的なものの考え方、理詰めに考える習慣
 に違いがある→その正体は不明
 ~キリストの一神教のみ~ or ~八百万の神~
  絶対的な基準          多神教 
  判断が明確           基準が混乱して割り切れない

 日本にはアミニズム(万物の全てに神が宿る)
 →機械設備に愛着をもつ(欧米は、モノはモノ)
  生産性が向上して価格が下がり、競争力が強化される

 「アミニズムは日本人の利点」(判断の基準はさまざまで難しい)
 国や地域や宗教により、労働感に違いがある

●日本製工作機械の評価
 最初は見向きもされなかった
 日本とアメリカの機械を同時にオーバーホール
 日本の機械はシムで調整が必要→分解したらもとに戻せない
 欧米の機械は精密かつ正確
 →ユーザーの声に耳を傾ける日本の工作機械業界の姿勢は、次第に
  評価され、本格的に日本から輸出が始まる
 〈NCが実用化>
 アメリカの意見「コンピューターメーカーNCとサーボモーターを
         独占してしまうと、工作機械の理想とする動きは
         実現できない」
 日本はコンピューターメーカー(FANAC等)に依存した
     ↓
 コンピューターメーカー、NCメーカーが発展して世界のシェアを
 大きくとった

・フラットな関係or縦社会
 日本は縦社会→垂直統合社会
  年功序列、心地よい、頼れば面倒を見てくれる
  ファミリー、お客様は神様
 欧米はフラットな関係→水平分業社長
  対等な契約社会
  企業同志の契約で、合意が形成される
  合意形成のための交渉術の訓練をする
 「日本人はレボリューション(革命)を嫌う
  日本人に出来るのはエボリューション(改革)だ」
 ・日本人はStep by Step、失敗を嫌う
  完璧を求める→挑戦ができない
 ・欧米は、トライエンドエラー(試行錯誤)や、リスキーなチャレ
  ンジが社会に組み込まれている。違うものに興味を持つ。
  →チャレンジする風土が育つ。

●グローバル化する世界を生きるために
 日本人が世界とともに歩むためには、自分本位(自己満足)の完全
 主義を卒業すること
 外国人とフラットな感性で付き合う
 外国人は日本に悪い印象はない(真剣、真面目、信頼できる)
 →日本人のとことん追求する、良いものを求める真面目さは理解されている
 
☆今後も環境は変化し続ける 
 ビジネスもエンドレスで続く
  ↓
 グローバルな感性を身につけよう

自分の仕事に取り入れたいこと

 「スズキ」が大手と競合して欧米で戦う力がなくてインドに進出して、
 自らで新しい場所を開拓したのはすごいと思った 

 失敗を恐れずに、新しいやり方やプログラムなど、チャレンジしてみる
 のも必要だと思った

 欧米のようにトライアンドエラーやリスキーなチャレンジをする

 グローバルな感性を身につけるために、トライアンドエラーやチャレンジ
 をしてみようと思う

 過去に日本で「国民車育成要網案」が出されていたが、今も「2030年
 ガソリン車禁止案」が出されている。どちらも大変な目標かと思うが、
 進歩していくためには必要なことなのかとも思う。

 日本と欧米では文化や宗教など、いろいろな要因で労働観に違いがある
 ことがわかった。

 スズキは強豪メーカーの欧米で競争せず、インドで勝負する発想はすごい
 と思った。

 グダグダ考えず、わからなかったらとりあえずやって見る精神もやはり
 大事だなと思った

 欧米に関わりがなくても、グローバルな感性を身につけることは重要だ
 と思った。

  
 
振り返り・今日の学び

 日本の工作機械が最初は見向きもされなかったが、日本人の真面目さや
 丁寧さなどにより、だんだんと日本製の機械が海外に輸出されたことを
 学んだ 

 スズキのインド進出計画の的中で他社を寄せつけず、シェア50%は
 すごいと思った。

 今後の環境の変化は、今より激しくなると思うので、グローバルな感性
 で仕事をする

 自動車産業は、今も昔も経済に多大な影響を与える産業だと思った

 日本と欧米の考え方の違いが、宗教の違いが根本にあるという話は興味
 深かった

 当時の政府は工作機械の能力向上の政策だけでなく、自動車の普及のた
 めの政策をとったことが知れた

 戦後期の政府の工作機械助成策の模倣令(機振法)は今よりもいいと知った

 大手には大手の、中小企業には中小企業の戦い方があるということで
 インドに目を向けたスズキは、先見の明があるなと初めて知った

 日本製工作機械の海外進出から日本と欧米との意識の違いを学んだ