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工作機械の歴史⑫マザックの歴史⑥ 200107

教育2021/01/12

工作機械の歴史⑫
マザックの歴史⑥

◎世界初の対話型NC装置マザトロール開発
 顧客主義を貫く戦略+時代ニーズをすばやくつかんだ商品開発
   =
 グローバル企業として成長
 ☆「世界中にないものを自分でつくる」
 創業者山崎定吉のDNA

1981年 マザトロール発表
      対話型NC装置
      従来は1つ1つコードを手打ち入力
      対話型は質問に答える入力
      プログラムの作成時間が大幅に短縮+確認時間短縮
      不良・失敗の低減
・当時のNC装置は高額、コンピューターの理解が必要
 →精通している技術者だけが操作できた
・当時はNC装置は高額で、町工場には高嶺の花
 NC装置の操作に専門知識が必要→人材不足
→当時の町工場のニーズにMAZAKは注目した
「誰でも操作できるNC装置を搭載し、安価な工作機械を作れば必ず
 ヒットする」
→そこで考えたのが対話型プログラム入力
 加工に必要な情報をQ&A方式でオペレーターに問いかけてくれる
 (プログラム知識は不要)→開発は困難 NC装置ノウハウなし

1980年 三菱電機とパートナーシップを結び共同開発
1981年 マザトロールが完成
      マザトロール搭載のNC旋盤クイックターンが発売
      →大ヒット1000台の注文が殺到

開発スタートして一年足らずで完成
「この世になかったもの」を作り上げた
誰でも金属加工が簡単にできる夢のNC装置
ユーザーニーズから生まれたマザトロール
MAZAKの社内のニーズから生まれた『複合加工機』
『複合加工機』=NC旋盤+マシニングセンタ
両方の機能を併せ持つ
機能を1台に集約することによって、加工時間短縮、
設置台数を減らせてフロアスペースの節約、作業員も少なくて済む
→圧倒的な効率化とコスト削減

1970年代後半に工作機械の需要が激増
マザックの生産現場においても増産ニーズが増えた
工作機械の心臓部である主軸ユニットの生産が停滞
→加工工程の短縮の必要があった
→NC旋盤とマシニングセンターを一台に集約する発想

1980年最初の複合加工機スラントターン30ミルセンタ誕生
もともとはマザックの社内設備用であったが、製品として発売

1987年 スラントターンをインテグレックスに改名

当時、インテグレックスは重工業用メーカー向け(Φ300~Φ400)
サイズが大きく、町工場ではなかなか導入できなかった
当時はコストの競争に勝ち抜くため、生産性向上、人件費の削減に
意識する時代になっていた→町工場も複合加工機に強い関心を持っていた

1997年 INTEGREX200Y

コンパクト+操作性+Y軸(手前・奥)+B軸(斜め加工)
+マザトロール搭載
旋盤刃物とミーリング刃物の特性の相反する工具の高精度での持ち替えの
難易度が高かった→成功(マザック業界初)
「新しい生産方式」が認められて→売上増大
『複合加工機といえばインテグレックス』
代名詞的な存在になる
≪複雑な加工が簡単にできるようになった
 →世の中の部品の形状設計が変化した≫
マザトロール・インテグレックスは現在も進化し続けている

「誰もがもっと操作しやすいNC装置」

2014年 マザトロールスムース(タッチパネル)
      グラフィックが向上、シミュレーション機能も向上
      直感的な操作
2019年 マザトロールスムースAI(人工知能)
      CADデータを取り込むことで、マザトロールのプログラムを
      自動作成→人間が微調整
      過去のデータを反映する、使えば使うほど賢くなる
2014年 インテグレックスAMシリーズ
      積層機能が追加+AMコーティング機能
      航空・宇宙エネルギー産業の分野に期待
2019年 美濃加茂工場が100周年事業のひとつとして、
      MAZAK i SMART FACTORYにリニューアル
      (IOT、AI、自動化技術を駆使)
     ・ロボットと工作機械が連結したFMS
     ・無人フォークリフト
     ・稼働状況を表示する壁面モニター

◎大企業の40.5%が技術者の人材不足
 中小企業の59.8%が技術者の人材不足
◎顧客ニーズが多様化→マス・カスタマイゼーション
☆多品種少量生産を大量生産並みの効率で実現することが求められる
◎製造業全体の仕組みとルールを、根本的に変えようとする機運
・ドイツ、インダストリー4.0(第4次産業革命)
 デジタル化(DX化)を推進し、成果を出し始めている
・中国製造2025
・コネクティッドインダストリー(日本)
 各国の国家プロジェクトが立ち上がっている

◎MAZAK i SMART FACTORY
・愛知県大口工場 
・岐阜県美濃加茂工場
 自動化システムで「変種変量生産」が行われている
・すべての設備機械はネットワークで接続され、工場稼働やデータの収集と
 稼働状況の監視分析が行われている
 →工場全体で一元管理し、効率化
・RFID(無線電子タグ)工場内のどこに何があるか明確にして、物流・
 在庫管理を行う
・「工場はショールーム」工場を最先端にするのは、生産性工場だけではなく、
 企業のプロモーション効果が高い→ユーザーに自社工場を披露することで、
 拡販や事業拡大につなげている
・実際の加工事例を見せることは、どんなカタログより説得力を持つ
 →ユーザーは安心して設備投資できる

i SMART FACTORYには最新工作機械だけでなく、まだ商品化
されていない様々な新技術を導入している→技術開発
・マザックの工場は単なる生産工場ではなく、プロモーションのための
 ショールームであり、技術開発のための研究所でもある
・マザックの開発姿勢は、現地に密着した事業活動(現地主義)を推し進め、
 ニーズを的確に捉え、そのニーズも高い技術力と現場力で製品化している

        

自分の仕事に取り入れたいこと

 「世の中にないものを自分で作る」という創業者の理念で、誰でも金属加工
 が簡単に出来る「夢のNC装置」を、開発から一年足らずで完成させたこと
 に驚嘆した

 マス・カスタマイゼーションとまではいかないが、贈り時間などを有効活用
 して、効率的な作業でコスト削減につなげたい

 複合加工機といえばINTEGREXという代名詞のように、~といえば阪本
 というように技術を高めていきたい

 マザックはこの世になかったものとして、誰にでも使えるマザトロールを使った
 自分は毎日仕事でマザトロールを使っているので、感謝したいと思う

 対話型NC装置や複合加工機などの今までなかったものを実現させる熱意は、
 見習いたいと思う

 複合加工機のように、旋盤とマシニングを1台に集約する発想はできても、
 その機会を作るのはすごいことだと思った

 対話型のプログラム入力が使えるようになれば、段取りが色々はかどるように
 なるのかなと思った

 必要と感じたものを自分たちで作るという方針

 
振り返り・今日の学び
 
 対話型NC装置(マザトロール)が発表され、複合加工機が主流になっていく
 過程を学んだ

 インテグレックスの歴史は、加工工程の短縮のための社内設備用が始まりだった
 ことだと知ることができた

 社内ニーズから複合加工機が、顧客主義からマザトロール、のように、
 「世界中にないものを自分で作る」という創業者の理念に基づき、MAZAKは
 進化し続けているということを学んだ

 マザックの工場は研究所でもあるというように、現場を技術開発の場としている
 のはすごいと思った。中でも複合加工機を社内のニーズから生み出したという歴
 史を知り、驚いた。マザックの現場の効率化への執着はすごいなと思う

 多品種少量生産の製品を大量生産並みの効率で製造しようと、各国が取り組んで
 いることが知れた

 NCのノウハウがないのに、マザトロールを1年で完成させたのはすごいと思った

 ユーザーのニーズからマザトロールが生まれ、MAZAK社内のニーズから複合
 加工機が生まれ、それぞれが効率化とコスト削減に役立っていることを知った

 MAZAKが顧客や社内のニーズから世界初の対話型NC装置や複合加工機を開
 発した歴史を学んだ